【録音の違法性】

2016年05月23日

裁判において、録音データは証拠価値が高く、重宝されます。私も相談の際は、裁判準備のための秘密録音で違法になることはまずないので、録音しても構いませんとアドバイスすることが多かったかと思います。
もっとも、平成28年5月19日、パワハラ問題を審議する委員会の調査が不十分であるとして、私立大学の職員が勤務する大学を訴えていた裁判において、東京高裁は、「録音することの違法性の程度は極めて高い」として証拠排除しました。
証拠排除が認められた例は多くないですが、今回は、ハラスメント調査委員会の秘匿性の高さを理由に違法性が認められたようです。その意味で、日常生活一般における録音データの違法性を認めたものではなく、汎用性の高い裁判例とは言えませんが、録音データの裁判利用について、一定の歯止めがかけた事例と評価できます。