【裁判の迅速化に係る検証に関する報告書】

2015年07月13日

相談を受けていると、裁判をして判決が出るまでにどのくらいかかるかと聞かれることがあります。この点、平成27年4月15日時点のデータに基づき、裁判の迅速化に係る検証に関する報告書をみることができます。

【裁判所HPリンク】裁判の迅速化に係る検証に関する報告書

1 民事第一審
・平均審理期間8.1月、人証調べを実施した事件における平均審理期間20.0月
当事者間の和解により終了できない事案あれば、人証調べが行われた上で判決が下されることが予想されますので、平均20か月くらいかかることになります。勝訴しても、解決が1年半以上伸びてしまっては意味のない案件においては、裁判以外の解決方法を探った方がよいかもしれません。実際は、提訴の準備期間もありますので、当事者としては、さらに長期の裁判をしている感覚になります。次の裁判は1か月半後になりましたと説明すると驚かれることもあります。

2 家庭裁判所
手続代理人が関与している事案の方がそうでない事案に比べて平均審理期間が長くなっています。弁護士が関与した結果対立が先鋭化して解決が長引くのか、当事者間で解決困難であり長期化するような事件が弁護士のところにくるのか、因果はわかりません。

3 刑事第一審
裁判員裁判対象事件では公判前整理期間が短縮されています。裁判員裁判は、スケジューリングが極めてタイトで、あれだけ急いでやれば公判前整理も早く進むのは納得です。当事者の負担はかなり増えますが、民事でも家事でも、裁判員裁判並みの進行がなされれば、審理期間は格段に短くなりそうです。

以上は、裁判現場からの視点と言えますが、実際は、裁判所の人員数、司法予算、裁判を行う場所の確保など、構造的な問題もあるようです。