【残業代をめぐる裁判】
2015年03月18日
労務関係をめぐる事件のうち、近時、残業代請求が増えているように思われます。
残業代に関しては、最終的にこれを支払わずに判決となった場合、「付加金」という制裁的な金員を課し得る規定があります。未払残業代に加えて、付加金を支払わせるというものです。
この規定に関して、有名な十象舎事件(東京地判平成23年9月9日)では、雑誌編集といった不規則な勤務形態の特殊性があった事案で、タイムカードの導入拒否など勤務管理を怠っていたこと、他方、割増賃金の一部弁済をしたこと、和解勧告を受託するなどの経緯があったことなどから、30万円の付加金を認めました。どんな示談で付加金が課されるのか、参考になる事案です。
企業側にとって、残業代に加えて付加金を支払わせることは厳しい判断のようにも見えます。
しかし、この事案は、企業側が、最低限の労務管理をしつつ、訴訟終盤で、裁判所の心証を見ながら和解に前向きな対応をすれば、付加金の支払いを防げるようにも読めます。その意味では、付加金の請求の道が狭められているとも言えそうです。
いずれにしても、そもそもの未払残業代が発生しないように、常日頃から、就労規程を整備することが重要でしょう。