【自首の成立】

2016年10月03日

刑法には、罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首した場合、その刑を減軽することができると規定されています(刑法42条1項)。もっとも、ここにいう「自首」には細かい要件があります。

自発的申告
自首と言いうるためには、自ら進んで申告することが必要です。そのため、既に嫌疑をかけられている取調べにおいて犯罪事実を申告しても自首にはあたりません。

自己の訴追を求める処分であること
犯罪事実を申告したものであるとしても、自己の責任を否定するような申告である場合には、自首にあたりません。

捜査機関に対する申告であること
条文上、「捜査機関に」とあるので、検察官や司法警察員に対して申告する必要があります。
また、ここでの申告の方法は、「口頭」も含まれますが(刑事訴訟法245条に準用される同法241条)が、いつでも捜査機関の支配内に身を置ける状態であると解されるのが一般的です。そのため、例えば、携帯電話で犯罪事実を申告しつつ、出頭もせずにどこにいるか不明という場合には、自首は成立しないと考えられます。

捜査機関に発覚する前の申告であること
発覚とは、犯罪事実そのものだけでなく、犯人が誰かという点も含まれます。しかしながら、犯人の所在が不明であるというだけでは、発覚前ということはできません。

以上、日常的に言われている「自首」よりは、法律の方が厳しい要件になっていると思われます。もっとも、刑法上の自首に該当しない場合にも、量刑上、有利な事情として斟酌することはあり得るので、この点に留意する必要があります。