リーガルニュース Vol.27 2019年06月15日
■ ニュース紹介とコメント
1 岐阜・高山の元市職員実刑 遺留金横領や詐欺、
被害額約870万円と多額のため,弁償しても実刑
https://www.gifu-np.co.jp/news/20190608/20190608-145484.html
2 ウーバーイーツ配達員、労組準備 個人事業主扱い、責任回避に批判
実態からすると,個人事業主というより労働者か
https://www.asahi.com/articles/ASM6F0DH3M6DULFA03Y.html
3 人気女性モデルと自民党のコラボ広告で公選法違反か 「ViVi」の政党ロゴ付きTシャツプレゼントが波紋
理屈としては,候補者が選挙区内の有権者に物をあげることになるので,公職選挙法違反では。
https://dot.asahi.com/dot/2019061100067.html
4 ピエール瀧初公判
懲役1年6月の求刑とのこと,判決は6月18日
https://blogos.com/article/382448/
5 太陽光買い取り終了検討、経産省 全量・固定価格やめ負担軽減へ
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190612-00000152-kyodonews-bus_all
6 病院職員の過労自殺、労災認定 時間外が月188時間
医師のみならず臨床検査技師も長時間労働
https://www.asahi.com/articles/ASK8Q55WWK8QIIPE01J.html
7 AI―CON登記,シンプル簡単安い
https://corporate.ai-con.lawyer/case-04
8 弁護士ら「黒服デモ」 逃亡犯条例改正「冤罪で中国拘束も」
改正は延期になりました。
https://mainichi.jp/articles/20190607/dde/007/030/034000c
9 エクアドル憲法裁判所が同性婚を合法化する判決 9人中5人が合憲
https://news.livedoor.com/article/detail/16612270/
10 トヨタ、管理職の夏の賞与4~5%減
業績好調ではあるが,危機感共有のため賞与減とする
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO46033530T10C19A6MM0000/
11 北茨城市民病院 節酒や断酒、8割に効果 総合診療科専門外来
受診希望。
https://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=15605103082666
【ワンポイント】
Q 契約交渉がうまくいく手法を教えて下さい。
A 交渉ごとは相手あってのことですので,
契約の背景,締結までの時間,今後の取引の状況,人間関係、相手の特徴などに照らし,有利な契約条件を提示することになります。
一般的には,条件提示は相手にさせた後の後出しジャンケンが良いものの,時間が限られている際には先に契約書のドラフトを提示してしまった方がよい(訂正する時間がない)ケースもあります。
【今週の書籍の紹介】
議会の最中なので,関連した本を。
諸外国と同じように戸籍制度の廃止をする,夜間議会を開催する,地方自治の成り立ち,二元的代表制のあり方,市町村合併の効果,行政のアウトソーシング化の基準を作るなど,盛りだくさんの内容で,読むのが大変でした。
そもそも「市民の声」とはなんでしょうか。
私たちは一人一人が意思を持っている。それが尊重されるのが近代社会の前提です。
100人いれば100通り,9万5000人いれば9万5000通りの意思がある。これらの意思が合意することはあるのか。最初に思いつく手法は多数決ですが,多数決には選択肢が必要です。
多数決の前に選択肢を絞る作業が必要になる。それが議論です。議論により合意調達のプロセスを深めていくのが議会です。
十分な議論をした上で1つの選択肢が選ばれたとしても,9万5000人の意思が合致しているわけではない。そこから除外された,例えば4万の意思は不満に思うでしょう。それだけでなく,選ばれた選択肢を選んだ人の中にも妥協した(してやった)という思いがあれば,不満が残るに違いない。つまり,合意とは,不満の積み重ねにおいて成立する。合意形成とは誰もが不満を抱える状態なのです。
ただ,その不満をもった人も納得できるかどうかが合意形成の分かれ道になる。それがプロセスです。100%の納得はありえませんが,市民合意を形成にあたっては,可能な限り公開・透明性のある場で,時間をかけて多数の納得が得られる努力がされたかが重要なのです。